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B1病棟@其の3

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B1病棟@其の3



国立病院の診療による問診が長時間かかってしまった。
前日から睡眠をとっていなかったので疲れてしまい、再び玲子が診察室に呼ばれている間、1階の点滴ルームで仮眠を取らせたもらうことにした。
横になってもやはり眠気は訪れない。何気なくテレビモニターを眺めて病院案内を閲覧していたときだ。

はっとひらめく出来事が起こる。

何と、いつも見慣れた会社のシンボルマークのロゴが使われているではないか。マリーン喫茶のロゴマークだ。
社長はこの病院で間違いなく長期入院を経験しており、一部始終この病院には社長の息がかかっている。
やはり前々から感じていた社長の人並みはずれた経営能力と鬱状態の繰り返しは自分と同じ躁鬱病であることで納得ができるではないか。

社長は双極性感情障害と考えてまず間違いない。
それで会社でも常にカウンセラーをつけており、体調が悪くなると長期出張が入ったのも頷ける。
心療内科からこの病院を紹介されたのも強制入院させるための始めから仕組まれた罠であったことを見抜いた。

顔がにやりとして凶暴な目の輝きが現れた。
やはり昨日、会社を解雇された時点で、汚職の極秘データを持ち出しているために、会社の幹部たちが警戒し、この病院に強制入院させようと会社側は企んで計画していたのだ。
緊急入院させて不正疑惑情報もろとも抹殺しようとしているのだ。

自分の顔が更ににやけてきたのがわかる。

頭の中で何かが弾けて完全に燥状態へと転換したことが解った。

「やってくれるじゃないか。ここで思い道理に強制入院させて荷物を没収し、データを取り返そうと考えたな。」

「キチガイのレッテルさえ貼れば、もう自分の話など信用するものはいなくなるからな。」

ベッドの中で小声で呟き、ただ獣のように瞳の瞳孔が収縮と拡大を小刻みに繰り返す。

こんな罠に引っかかって強制入院なんか死んでもするものか。

点と線とが結び合い、すでにこれは現実と確信したとき、再び精神科の診療室に駆け戻り、マシンガンのような言葉でDr.を攻め立てた。

「会社から手を回されたんでしょう。こんな子供だましの策略にまんまと引っ掛かる自分ではない。」

また一段と頭が冴え渡り、動揺を隠し切れないDr.の静止を無視して看護師を尻目に診療室の電子カルテを勝手に閲覧する。
同じ躁鬱病の社長のデータを検索し確かにその存在を確認してフラッシュメモリーにコピーする。
看護スタッフが数人乱入してくる。

「やはり社長の真柴 賢一は尾崎先生の患者だったのですね。」

会社の息がかかった担当医の顔写真を連写する。顔面が蒼白となり恐怖に怯えている尾崎Dr.の写真だ。

この際あらゆる証拠を手に入れたいのだ。

これまで疑問に思っていたさまざまな事がジグゾ―パズルのように最後にぴったりとはまった。
様々な可能性を照らし合わせても企業の目論見が今、自分には手に取るように解かる。
どうしてもこのまま会社の策略に乗って精神病院に入院するわけにはいかないのだ。
ドクターと看護師の制止を無視して病室を駆け出し、待合室の玲子に一瞥し、エスカレーターの中断の3メートルの高さから一気に一階へ飛び降りる。
追いかける病院スタッフを振り切り、正面玄関をすり抜ける。
そして振り返り国立病院の全体像を写真に収める。

全力で走り抜け駐車場に置いてあったアダム・オペルに滑り込む。
エンジンを駆けタイヤを軋ませ急発進させて、前方で両手を広げて停止のサインを送る看護スタッフを寸前のところですり抜け、
料金ゲートを無視して突っ切る。

玲子を病院に残したままだが、これも会社の追っ手から身を守る為にも、安全で安静な健康管理ができ、一休みできる良い機会だと考えることにした。

病院を抜け出した後、一旦家へと猛スピードで引き返す。

追い越し禁止斜線で前方のジャガーをパッシングして追い越す。

カーブは決まって二車線を使ってのアウトサイドインアウトだ。玲子からメールが届く。

* いったいどうゆうつもりなの?私を迎えに来て!*

携帯から電話を掛ける。

「しばらく俺は姿を隠す。子供らを頼んだぞ。会社からの刺客には十分気をつけろよ。」

それだけ告げると、再び猛スピードでオペルを走らせた。
そして、ようやく近所のスーパーの駐車場にオペルを滑り込ませた。

企業の刺客がすでに先回りして自分の帰りを待ち受けている可能性があったからだ。
慎重に様子を伺い歩いて家に着くと、案の定、自宅に見知らぬ車が駐車スペースにある。
そこには企業の刺客ではなく、なんと玲子の親友の香織が無防備に佇んでいるではないか。
玲子から携帯で連絡があり、事情を察して急遽駆けつけたのだろう。

しかし自分を見つけた途端に携帯電話から警察に通報しようとする。
しかたなく室内に押し込み、すかさず腕をねじ上げ携帯を奪う。
悲鳴をあげられ瞳の瞳孔が収縮するのがわかる。
二階に駆け上がり、タンス預金の200万円を鷲掴みにして玄関ら逃げだす。
背後で香織が自宅の電話から警察に通報した声が聞こえた。

もう時間の猶予は無ない。
どんどん事が大きくなるにつれて、躁状態も激しくなってゆく。

既に恐怖はなく覚醒した戦士のような心境だ。
如何にしてこの状況を打開し、早期に再就職をして家族を守らなければならないかだ。
その為なら命さえ投げ出す覚悟ができている。

人目につかぬ様に新緑の垣根と春の香りの閑静な住宅街をすり抜ける。
走りながら途中の交番の近くで数人の警察官が慌ただしく出動の準備をしているのが見えた。
駐車場まで一気に駆け抜けオペルのエンジンをかけ、高速のインターを目指して裏道を選択して走った。
ゲームセンターのカーチェイスのようだと思った。

セルフのガソリンスタンドで恐る恐る給油していると何台かのパトカーが自宅のある長崎方面に走っていく。

警察の検問が始まるのは時間の問題だ。

より早く少しでも遠く、この場を離れなければならなかった。

 
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