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B1病棟@其の10

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B1病棟@其の10


七月十四日 金曜日 七時三十分、自宅のダブルベッドから起きる。昨夜は大変な暑さで寝苦しかった。
玲子と朝食を頂く。おにぎりと冷奴で食欲の無い今はちょうど良い。体はとてもだるい。
玲子が十時から買い物に出掛けてから、1階の掃除をしてみる。
必死で掃除機をかけて無理をしてしまう。体調が崩れた。

昼食に鯖寿司を二個頂く。これで精いっぱいだ。暫く横になっている。本当にしんどくなってきた。
玲子に最終の支度をしてもらい、バッグに詰めてゆく。

1時に自宅を出る。真夏の中、玲子と二人、オペルで丘の上の病院を目指す。
車のバッテリーを気づかいながら玲子が運転する。
病院に着いてから、七月いっぱいで退院出来ると良いのにと話し合う。
一時五十分頃に入院手続きを済ませ、その場で玲子を見送る。
病室に戻ると、やはり可部さんは退院されていた。
 
四時に仲尾Dr.と面会する。今回の外泊についての説明をする。


「家族との間にストレスを感じ無くなりました。」


「それは良い方向です。一日の中で感情の波があるのは回復してゆく過程で良くあることです。
指の震えは薬とは関係ないので心配いりません。
デパケン二錠では殆んど血中濃度に達していない位ですので、これ以上の減量は鬱には関係ありません。」


今日はメール無いだろうと思ったが、チェックしてみる。

*メールうつな~って言ってたけど今着いたよ。暑かったね!ピーサクもシーンとしてる。
今無理したら絶対ダメだからね、自分にむちうって又もとのもくあみになるよ。
今は大事な時~大切にして下さい。ゆっくりでいいの!少しずつ回復してくれればそれでいいよ。
楽しかったよ。p(^^)q*

五時にこのノートに書き足す。


自分としては、精神の分裂気味の傾向が出始めているのではと思える。


と書いた瞬間、パニックになる。


頭のネジが吹っ飛んだ。


発狂しそうだ。



仲尾Dr.を探して廊下を走り、ようやくDr.を捕まえて、白衣を掴んで状況を説明する。


「これ程の恐怖はあじわった事がありません!
わー!と叫びだしそうです。頭のネジがパーンと弾けそうでした。」


「藤沢さん絶対に大丈夫です。言葉を喋っているじゃないですか。安定剤を出しておきます。」


リスパダールの液剤を飲んでしばらく横になっているが、ショックは大きい。
ようやくノートに書き加える。
神様は必ず自分の精神を守ってくれると思う事にする。
一歩一歩。
今日から同室に本多さんが入られた。五十八歳の妄想患者だ。


 七月十五日 土曜日 殆んど寝られずにもんどりうって一夜を過ごす。
六時半に起きだして髭を剃り、洗顔をする。
十時に如何にか風呂に入る。入退院する患者が此処の処多くて、患者の顔ぶれが、がらりと替わる。

自分は今、薬の減量で鬱の流れを上向きにと期待しているが、
院内生活や退院後の生活、玲子の全てがストレスとなっている事が問題だ。


午後、食欲無し。申し訳ない気持ちで半分残す。
七月十八日十一時半から七月二十日十二時半まで国立病院にMRIの検査診断の為に外出願を書く。

本当に頭がパーになっている。脳が働いていない。混乱している。日付も予定もまるで頭に入っていない。
全てがすっ飛んでいる。アルツハイマーみたいだと思ったりする。又何かのせいにしている自分がいる。
四時にまた腰が痛いふりをしてメールチェックする為にナースステーションに入る。ドアがロックされる。

*昨日のメールも見たかな?今日の気分はどうですか?
お母さんから見ると内面的に焦ってるとこがあるからそこだけ気をつけてね。
今じっくり自分の内面の基礎固めをする時だからあせらず日々を大切に過ごして下さい。
自分の病気に認識が持てるのならお父さんは精神異常ではないんだから大丈夫!
自分の事を精神異常と思いこんだらダメだよ。大体が暗示にかかりやすい性格なんだから‥ね。
病は気からです。もう治療を受けているし今は薬の適量を探る時だからきっといい方向に行くからね。*

また玲子に見透かされている。
自分は精神異常ではないんだから、直ぐに暗示に掛かると言って来た。
何時もどうして此方の気持が解ってしまうのだろう。
確かに玲子と繋がっている。感謝したい。

腰痛も精神分裂も自己暗示だ。

再度ノートを読み返し、自己のスタンスを修正する。大丈夫。まだ第三の目で自己を見つめる事ができる。
 夕食を久しぶりに全部たべる。気分の問題が大きい。
この頃大久保さんがまたまとわりついて来ている。食事の席も必ず真ん前に座る。
大げさにスプーンを叩いたり、喚いたりする。吉沢恭子の差し金だろう。
 
他の患者さん達を改めて見ているとその努力と考え方や心の持ちようなどに見習う処が多い事を最近特に思う。
ビートルズをこよなく愛する深代さんと初めて話す。
気がついたら何時もこの病院で縛られている。
歌が上手いことだけが取り柄だそうだ。そしてまた優しい声で歌うのだった。


 七月十六日 日曜日 七時起床。良く眠れる。朝食も如何にか食べられる。
自分は何時もこのノートを書くことで自己を再確認出来ているが、
頭の中に書くことで安心してしまったりする傾向があるのか、忘れやすい。

心理プログラムのメンバーの石田さんに前回の心理プログラム「再発予防」について聞く。
再度ノートを読み直して、今の自分の回復のペースが遅いのは確かだが、
良くなったり悪くなったりしても、希望を持って対処すれば全体として良い方向に向かうはずである。

 午後、食欲なし。パンを隣に座っていた成瀬さんにあげる。社交的で女性に人気があるジェントルマンだ。
二十四時間テレビを一時間眺めるが、自分の居場所が無い。看護師の明るい五島さんから麻雀に誘われたが、
腰痛のせいにして、お断りした。

 三時頃、突然玲子が面会に来る。面会室が塞がっていたため、食堂で話すが、集中出来ない。
また大坪さんが玲子の真後ろに来て聞き耳を立てている。とても嫌な気がする。

心が通じているので昨夜から病院に電話していたが一向に通じなかったらしい。
七月十四日にパニックになった事、その後更に頭の回転が悪くなった事などを話すが、
自分には今の玲子が夢か幻の様に思える。やはり離人症か。


「悪いイメージを思い浮かぶ時はお尻を抓って切り替えるように。
今が一番大事な時期だから、鬱から躁への移行の時よね。焦る事が絶対ダメ。」


色々とアドバイスしてくれるが、頭に入らず他の患者達の視線が気になってしょうがない。
せっかくはるばる来てくれたのに申し訳なく思う。病室から玲子を見送る。
何度か玲子も振り返りながら別れる。メールチェック。

*メール見れないのわかっているけど今日の気持ち~
まずお父さんの心の叫びが聞こえて、会えた事に神様に感謝~
それから暗闇に取り残されてだんだん精神を侵されていくような気持ちになっているお父さんに忠告!
自分は精神なんか全然おかしくない‥と思って他者に迷惑かけるのが病に侵されている人です‥。
お父さんはパニックになって苦しんでいて他の病気があるかもしれないと悩んでいるだけ~
自律神経がおかしくなっているだけ。
足の冷えと手の冷えに気をつけて泥沼の鬱がよんだら手をねずんで心の中でストップといい、
なんか行動をおこす事。*

五島さんに再度麻雀に誘われて渋々参加した。処がやはり麻雀さえ忘れてしまっていたのだ。
全く頭に入ってこない。積み木遊びをしている様だ。


「五島さん、麻雀を全て忘れている。どうなっているんだろう俺の頭は。」


再びパニックになる。

看護師さんに頼んで他のDr.に見てもらう。安定剤を飲まされ暫く横になっていて安定した。
八時に睡眠薬を飲んで横になる。


七月十七日 月曜日 休日。七時起床。いつもの様に髭を剃り顔を洗う。
眠りが浅く、何時までもまどろむ。体温三十七度。高めで珍しい。
十二時まで横になってリラックスを心がける。
午後、食欲無く、半分だけ食べる。一時三十分まで再度このノートをさかのぼって読み返す。
自己のスタンスの修正。
そこには確かに自己の精神の流れが詰まっている。失われつつある記憶も再確認出来る。
ごくこの一週間でも心の動きや鬱の病状や忘れかけた記憶、
パニックなどの流れなど全ての重要な要素が書き込まれている。
自分の脳は薬とストレスで神経伝達物質のバランスが悪く、
絶えずレセプターが増殖と衰退を繰り返しているのが解る。

ちょうど良いバランスを取る為に、第三の目と、このノートは欠かす事が出来ないアイテムだ。
自己の再構築のプロセスであり、基礎固めなのだ。
本当は減薬の効果も出始めているのだろうが、鬱の方が都合が良い為に、
脳が意識的に鬱の仮面を被せているのだろう。
離人症ではない。精神分析を受けてみたい気がする。

休日なので希望者のみシャワーを浴びられる。
一人で入るシャワーはストレスも無く大変気持ち良くゆっくりと体を丹念に洗えた。
三時までテレビを見ている。また少し安定している。
海の日の海水浴の風景で家族連れの三連休である事を知る。
麻衣子との海水浴へ行った事や毎年浴衣を着せて出かけた事を思い浮かべる。
麻衣子はたった一人で、どうしているのだろう。
患者達の視線を浴びながらナースステーションに入る。
福間さんとニアミス。携帯を見られる。外で仲尾Dr.に食って掛かっているのが解る。

*気分はどうね?無理したらダメだよ。長い一生悪い時もあるさ。
ここは冬の嵐が過ぎ去るのを二人で待ちましょうよ。
こんな時ジタバタしてもいい事ないから春を信じて待ちましょうね。お父さん大殺界やし‥ね。
今日はサクちゃんをやっと武川イヌネコ病院に連れて行き大丈夫でしょうと言われ、
狂犬病の注射をうち、洗濯機の水漏れの修理に今ミスターコンセントに来てもらいました。
今修理中。ますますひどくなってどうもならんし‥。
普段気になってた事やってます。明日は会えるね。楽しみにしてます!わ~い!*

*結局ミスターコンセントでみてもらったら排水管の詰まりで~つまり専門業者しか無理と言われ、
わー高いやろうな~とショック受けてたら
龍之介が針金ハンガーを改造したもので中からつまりの原因と思われる排水溝のフィルターが
横になってひっかかってたのを取ってくれた。もう漏れなくなった!龍之介に又助けてもろた。感謝ばい!*

*明日ね。*

*元気だして!*

さすが龍之介、頼りになる男だ。
腰痛は日増しに軽くなっている。嘘の様である。
玲子は自律神経から来るものだと言っていたが、
手足の痺れなどに対して冷やさぬ様アドバイスをしてくれていた。

 夕食後、また意識が飛び気味になり、魚の食べ方まで忘れる。しばし焼き魚を茫然と眺めていた。
そのことをノートに書き込もうとした途端パニックになり、ジプレキサ液剤を飲む。

六時三十分、玲子から電話がある。またパニックで危うい精神状態が解ったかのごとくのタイミングだ。


「またパニックになってしまった。焼き魚の食べ方さえ解らなくなってしまった。
あんなに綺麗に魚を食べていたのに。俺はこの先どうなるんだろう。」


「今日はゆっくりしていて。明日十時三十分頃迎えに行くから。心配無いって。」


何時も勇気づけられる。こんな自分にはその価値があるのだろうか。
自殺願望は日増しに強くなって来ている。


七月十八日 火曜日 六時起床。顔のアトピーが更に悪化。朝から洗顔してステロイドを塗る。
久しぶりにラジオ体操を念入りにする。気分が良い。朝食で外泊から戻られた福間さんと話す。


「私もパニックになった事も、記憶を一時的に無くして頭がパーになった事もある。
だから余計な事を考えないで人と会話して笑える様になったり、テレビを見たりした方が良いのよ。
それと食べる事はしっかりね。」

せっかく外泊から帰って来られたのに、相づちばかりで怒らせてしまったみたいだ。
まるで今の自分に「あまえるな!」と頬を打たれた感じがした。
生きる事とは、日々の事を精一杯することで、どうにもならない事を考えても無駄と言うことだ。

十時四十分に玲子が迎えに来る。仲尾Dr.と三人で面談する。


「藤沢さんは典型的な鬱病のみです。心配はいりません。今日の夕食後より、抗鬱剤を処方します。」


その後二人で国立病院に行く。整形外科でMRIの検査をする。核磁気共鳴の装置はすこい騒音がした。
玲子の機嫌が悪い。丘の上の病院への帰りに蕎麦屋で昼食を食べた。


「頑固な処など本質的なところがやはり以前と変わってない。」


玲子のストレスが苛立たせる。病院の駐車場でも言い争いをする。


「焦らないで私は家族だから当たり前のことをしているだけ。鬱が来月あたりに良くなっていると良いわね。」


と言って勇気付けてくれたかと思うと。


「どうせ私は躁で邪魔者、鬱でストレスな存在なんでしょう。」


と毒づく。


「病院入院の手続きがいかに大変で、毎月市役所の手続きなどに追われているのよ。」


玲子は本当に出来るだけの事を日々の生活に加えてしてくれているのだ。
病室から玲子を見送る。何度も何度も振り返りながら手を振る。
開き直ってナースステーションに入り、メールチェックする。

*買い物して今帰りました。気丈な母ちゃんですまんね。
でもこうでないと女一人なんでもかかえてやっていけんとさ‥。ま~許してくんろ。
父ちゃんと一緒に悩んでたら子供が破滅するけんねっ~強い母でおらんばと!
そこが父ちゃんのストレスなんだろね。
今度は父ちゃんの望みどうりの女の人とめぐりあわんばたい~来世でね!*

今日から夕食後に抗鬱剤が処方される。
大坪さんがトイレまで付いて来て、いつもの洋式トイレにはいると、何やら外でブツブツと囁いている。
そしていなくなった。


七月十九日 水曜日 昨晩は良く眠れる。今日は大変な大雨だ。
玲子の市役所の手続きや高校の面談は大丈夫だろうか。づぶ濡れの雛のようになっているはずだ。
トイレに行くとトイレットペーパーが全部便器に入れられていた。
吉沢恭子の差し金で、大坪さんがした嫌がらせだ。看護師に言って詰まりを直してもらう。
仲尾Dr.面会。


「デパケンの減薬の効果は1週間から十日ぐらいかけて現れてきます。
抗鬱剤も微量ながら効いて来ますので、安心して下さい。
不安な時は夕方が特にパニックになりやすいので、リスパダールを早めに飲んで下さい。」


「断言しますが、今が一番鬱の底ですから、もう少し辛抱して下さい。」


「メールの件ですが、他の患者から嫌がらせを受けています。」


「藤沢さんのメールの許可は羽田先生が治療の効果を上げるために認めた方針です。
他の患者の目を気にしないで、今はご自分の病気の回復に専念して下さい。」


玄関まで散歩に出かける。外は雨降りで煙っている。ナースステーションまで戻ってメールチェックする。

*今日は朝~市役所で入院費用の減額の手続き~
昼から龍之介の面談で三時半からレッスンというハードスケジュールで疲れた!
もう今日は疲れたのみ。気分はどうね?抗鬱剤でたね?*

玲子がそう言うくらいだから、本当に大変だったのだろう。
明日の国立病院は絶対にキャンセルした方が良い。
腰痛も嘘の様に退いているのだから。

また福間さんとニアミス。携帯を見られる。その後仲尾Dr.に食って掛かっている処を目撃する。
やはりメールが出来るのも時間の問題であろう。
五時ごろ安定剤を飲む。夕食はいつもの様に大坪の嫌がらせの中で食べる。

六時四十分に玲子から電話がある。明日の再確認をする。
その後すぐに島根の母から電話がある。


「心配でたまらないわ。病状はどう。何もしてあげられないけど、困ってる事が沢山あるんでしょう。
玲子さんはキツイから。」


「わしも心配してる。この前おばあさんが倒れて、二人とも鬱でえらいわ。」


母と兄の声を久しぶりに聞いた。
吉沢恭子が今日から外泊。真っ赤なドレスを着て母親に連れられて出て行った。
視線が会うとにやりと笑った。


七月二十日 木曜日 昨夜も良く寝られた。同室の田代さんが洗濯を始めた。今度教えてもらおう。
シェーバーを分解して掃除する。カビが生えていた様な感じがする。

仲尾Dr.面会。朝のデパゲン少し増量、夕食後の抗鬱剤を更に増量。採血をされる。
微妙なさじ加減をされているのだろうが、自分の脳は鬱の仮面を取らない。
何故ならば何かと鬱の方が都合が良いからだ。

十一時四十分に玲子が迎えに来る。国立病院の整形外科でMRIの診断結果を伝えられる。
予想通り、ヘルニアも何もない綺麗な腰椎だと言われた。
何だったのだろうか、あの腰の激痛は。
やはり自律神経からきているのか、玲子が言うように自己暗示だろうか。
ベンチャー企業のロゴマークが同じマリーン喫茶で昼食を摂る。
経済産業省補助事業の不正データはまだ自宅のパソコンの中で息を潜めている。
俺は弁当と青汁、玲子はホットケーキを食べる。


「今の自分には玲子に何もしてあげれない。」


「あなたには本当の愛情がないのよ。懲りもせず自分しか愛せないのよ。
島根のお母さんとお兄さんと全く同じだわ。」


ヒステリーになり手がつけれない。
丘の上の病院に戻ってB1病棟から玲子を見送る。次は月曜日に来ると言っていた。
ナースセンターに入り、外から数名の患者が見つめる中で、ドアはロックされた。

*さっきは言い過ぎた~ごめんなさい。今日はそれだけしかいえん。私は最低の女ばい。自己嫌悪。*

四時二十分安定剤を飲む。
六時三十分に玲子から電話がある。


「ゆっくり休んでね。私が付いているから。私達の為にも今はゆっくりする事を心がけてね。」


「メールを巡って患者さん達の反感を買ってしまった。仲尾先生は無視しなさいと言われるが、
今後は短いメールにした方が良いと思う。」


気分は安定している。鬱の病状も今は影を潜めている。
ただ胸の空洞と不安はずっと付きまとっているのだ。


七月二十一日 金曜日 今日からデパケン一錠増える替わりに抗鬱剤増量。
大坪さんから話しかけられる。
ガソリンの値段が大幅に上がっている事や煙草の値上げの話など、とてもまともだ。
やはり分裂病でも精神のある一部分は覚醒しているのだと思った。
全てを理解して現実を捕えている。退院について聞いてみると、人には言えない事情があると言うではないか。
正常すぎる人間の様に見える。

自分はこのB1病棟で一番心を鍛える必要のある人間なのかも知れない。
いや自分自身との問題であり、玲子がいつも言う様に本質的な問題なのだ。
仲尾Dr.面会。


「今は薬の効果が必ず出るので暫く休む様に。無理をしないでゆっくりするだけで良いのです。」


午後、昼食に何時もの場所が無くトレーを持ってしばし佇む。これも吉沢恭子の嫌がらせだろう。
空いた席に座ると周りの患者はみな食事を止めてトレーを下げてしまった。 
食事は半分だけ時間を掛けて食べる。
観察してみると、明らかにB1病棟の患者達は皆俺に敵意を持っているのを感じる。
こんな子供だましの嫌がらせは無視できる。
だが今後、B1病棟が震撼する事態が起こるのだ。

三時四十分に散歩に出かける。人目を気にしなければまともに歩ける。外回りを一周する。体は大丈夫だ。
これは心の問題なのだ。外の空気も雨上がりの風景も生気に満ちている。
鬱の振りをオーバーにしているから、鬱に入り込む自分がいる。体を動かすのはとても気持ちが良い。
今は此処から。ナースステーションに戻り、メールチェック。

*お父さん、お父さん、外泊できる日待ってるよ。*

*ありがとう。*

*気分を楽に持って下さい‥ね*


夕食、食堂に殆んど患者がいなくなった。皆自室で食べる事にしたようだ。
吉沢恭子と大坪さんのグループだけだ。自分のせいでこんな事態になったと思った。
仲尾Dr.にこの事態を説明するが、被害妄想だと言われる。
こんな明らかな自分に対する敵意と嫌がらせが被害妄想な訳がない。
吉沢恭子を捕まえて真意を問う。


「こんな嫌がらせをして何が面白い。俺のことはほっておいてくれ。」


「私は何もしていないわ。言い掛かりを付けるのはお門違いよ。」


「おまえは境界例だろう。俺のチャクラは何でも見通しだ。」


「私とあなたとどちらが正気だと思う?あなたの言う事なんか誰も信じないわよ。
双極性障害の鬱状態で自殺願望が強いくせして。あなたなんか死んでしまえば良いのよ。」


それはそうかも知れない。こんな面倒な人生に終止符を打つのも悪くないかも知れない。
そのタイミングと手段を考えながら安定剤と睡眠薬を飲んで寝る。

 
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